GOはなぜいきなり絶好調? 三浦崇宏さんに聞く「言葉の定義」で始める経営
#夢を諦めてはいけない のハッシュタグで世間の話題をかっさらったCAMPFIREを始め、「変化と挑戦」をテーマに様々な企業のプロモーションや新規事業開発を手がけるThe Breakthrough CompanyGO。
設立1年未満にして『WEARABLE ONE OK ROCK』や『COGY』などのプロジェクトで国内外の主要広告賞を8つも受賞するなど、はじめから順風満帆に見えるGOですが、その急成長の秘密とは何なのか。
今回は、そんなGOの三浦崇宏さんに、設立当初の苦労話を始め、会社を経営するうえで大切にしていることなどをお聞きしました。
〈文=ゆぴ(17)〉
どんな仕事をしても”不安”は続いていくもの
ゆぴ(17):
GOは設立当初から右肩上がりなイメージなんですけど、何か苦労されたことなどはありましたか?
三浦さん:
いやぁ、なんかもう、忙しすぎて記憶がないんですよね!
記憶がない
三浦さん:
最初は、共同代表の福本と、ゴールドマンサックスから入ってくれた松浦の3人でやっていたんですけど、とにかくありとあらゆることを3人でやっていたので、すごい忙しかったんですよ。
初年度の売り上げが3人で5億とかだったから…わけわかんないですよね。
まぁめちゃくちゃ働いてたね(笑)。
でも、売上は絶好調だけど、ずっと不安でしたよ。
ゆぴ(17):
何だか意外ですね。
三浦さん:
そりゃ不安がってるイメージあったら大変だよ!! 仕事こないよ!!(笑)。
女に振られて2日会社に来なかった日もあったという三浦さん
三浦さん:
もともと博報堂を出るときにも不安なことはあって、それは大まかにいうと「金」と「名誉」と「成長」でしたね。
まず、「金」ははじめに解消できた。どう転んでも会社員のとき以下にはならないという確信があったし、3年経っても電通・博報堂の給料と変わらなかったら解散しようと決めていました。
次に「名誉」だけど、名誉というのは有名になることじゃなくて、いい仕事、いい打席に巡り会うということなんだよね。
商店街のチラシを作るのも広告だし、企業CMを作るのも広告であることに変わりはないけれど、できる限り社会にインパクトのある仕事をしたい、という気持ちがありましたね。
3つ目は「成長」で、博報堂にいればすごい優秀な同級生や先輩と一緒に成長できる環境がある。でも、それが独立すると教えてくれる人もいなくなるわけじゃないですか。当時は32歳だったし、まだ成長過程なのにそれはどうなんだろう、って。
でもこれは、仕事をはじめたらすぐに解決しました。仕事を一緒にやるクライアントこそが、最強の師匠だったんですよね。
ゆぴ(17):
それらが全部解決しても不安はつねにあるんですか?
三浦さん:
どんな仕事をしていても結局不安は続くわけなんですよ。
だからつねに変化し続けようと思っています。安心は絶対しない、それは、覚悟を決めるしかないんだよね。自信は実績から生まれるけど、覚悟は未来に向けてするだけなんですよ。
ただ、そのなかでも、共同代表の存在は大きかったですね。
三浦さん:
実は、ボクは資金繰りを一切、見てないんですよ。金まわりは福本が全部見ていて、その代わり、ボクはアウトプットのクオリティを高め、クライアントに価値を提供することに全力投球できる。
たとえば、1年目で1社提供番組のプロデュースが決まって、その番組の金を先払いしなきゃいけなくなったとき、かなり深刻だったらしいんですけど、それをほとんど知らされていなかったんですよ。
ボクはそういう状況を聞いたら大騒ぎしちゃうんです。「どうするんだ!! どうすればいいんだー!!!!」って。特に手段はないのに。
すがけん:
それでソワソワしちゃって仕事のクオリティが下がるのね(笑)。
三浦さん:
ピンチであることをボクに伝えることは何1つ意味がないのを彼は分かっているんですよね。あとで聞いたら家を売りかけた、と言っていて、大変だったんだなって思いました(笑)。
なので、お金とアウトプットの責任者を切り分けたのは本当にいい体制だったなと思います。
”成功”の基準は何なのかを明確にする
ゆぴ(17):
でも結果的に、GOはすごい成功してますよね?
三浦さん:
たまにそう言われることもあるんですけど、そもそも成功とは何か、っていう話になると思うんですよ。
たとえば、「金持ちになる」ことが成功だったら、世の中にはZOZOの前澤さんみたいな何十億も持っている人がいるし、GOはそれを目指している組織ではない。次に何が成功かといえば、女にモテて、芸能人と付き合うこととか?
すがけん:
まぁある意味それも成功ですよね。
さわやかに言わないで
三浦さん:
…まぁとにかく、いろんな成功の基準があって、それでいくとうちはいわゆる経済的「成功」を目指しているわけではないわけですよ。
GOにとっての成功は、世界がクリエイターが憧れる場所になりたい、クリエイターの社会に対する貢献の仕方を変えたいということ。
それは面白いCMを作るだけじゃなくて、たとえば社会を変えるきっかけをつくる、クライアントのビジネスを成長させることで新しい常識をつくるとか、そういうことが実際できるってことを証明したいし、それができたら成功なんじゃないかな。
だから、まだ「成功している」とは言えないんですよ。
ボクが菅原さんが言っていた言葉で好きなのが、「あなたがデザイナーという職業の定義を狭くすればするほど年収は下がるし、デザイナーという職業の定義を広くすればするほど年収は上がる」というものなんですけど。
すがけん:
そんなTwitterでちょっと呟いたようなやつ、よく覚えていますね(笑)。
三浦さん:
この言葉は日本のあらゆる専門技術家に学んで欲しいし、ボクはクリエイターという職業の定義を広げたいんです。
たとえば佐藤可士和さんが圧倒的な天才だとして、市場のクリエイターの1000倍稼いでいるけど、それは彼以外には再現できないじゃないですか。秋元康さんなどもそうです。
そんな彼らを天才とするならば、GOとボクは革命家になりたいと思っています。要するに、市場のクリエイター全員の給料を10倍にしたいと思っているんです。
すがけん:
市場のクリエイターの価値を高めることが、まわりまわってGOの価値を高めることにもなるからね。
三浦さん:
だから、GOは広告代理店じゃなくてブレイクスルーカンパニーなんですよ。マーケティング、PR クリエイティブ、あらゆる手段を使ってクライアントと社会の変化と成長にコミットする、というのが基本的なスタンスなんです。
「言葉の経営」が会社のブランドをつくる
ゆぴ(17):
個人的に、プレイヤーから経営者になることって結構大きな変化だと思うんです。極端な話、クリエイティブな発想ができる人が、経営もできるかと言ったらまた別の問題じゃないですか。そんなにすぐに順応できるものなんですかね?
三浦さん:
それでいうと、ボクはプレイヤーじゃなくなって経営者になった、と言うと怪しいんですよ。
そもそも、経営というのは「数字の経営」と「言葉の経営」があると思っているんです。
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